きょうだい児の気持ちに寄り添おうとするあなたは、とても優しい方です。
でも、その優しさゆえに、自分の心を置き去りにしていませんか?
- いっこうに報われない気がする
- 我慢ばかりで、親子関係もギスギス
- 自分の感情すら置き去りにしている
障害のある子の支援に加え、きょうだい児への気遣い――。
気づけば、「誰にも甘えられない」「休む暇がない」日々を送っている親御さんも多いはずです。
「疲れた」「もう無理かもしれない」「しんどい」――
そう思うことがあっても、あなたはダメな親なんかじゃありません。
この記事では、きょうだい児支援に取り組む中で感じやすい“親のしんどさ”に寄り添いながら、がんばりすぎない、心と体を守るためのヒントをお届けします。
「わかってもらえない孤独」に苦しむ親たち

きょうだい児支援は、非常に繊細で見えづらいものです。
- 周囲から「きょうだい児って元気なんでしょ?」と言われる
- 支援が必要なのは障害のある子だという空気がある
- 学校や園、医療・福祉の支援が兄弟には届かない
- 夫婦で温度差があり、自分ばかりが悩んでいる
そんな中で、「誰にもわかってもらえない孤独」を抱えている親御さんが少なくありません。
きょうだい児支援で親が感じる「つらさ」の正体とは?

① いつも「優先順位」に迷ってしまう
障害のある子の支援が最優先になり、きょうだい児への関わりが後回しに…。
そのたびに「ちゃんと向き合えてない」と自分を責めてしまう。
でも、全部を完璧にこなすなんて無理なのです。
② きょうだい児の気持ちに振り回されてしまう
がんばりすぎて疲れていたり、わがままが増えたり――
きょうだい児が何かを訴えているのは分かるけど、「どうしたらいいの?」と途方に暮れてしまう。
そんな時は、「全部自分が解決しなきゃ」と思わないことが大切です。
③ 自分の感情にふたをしてしまう
「私がつらいなんて、言っちゃいけない」
「もっと大変な人がいる」――
そんなふうに思って、自分のしんどさを見ないふりをしていませんか?
きょうだい児支援につかれたときのリアルな声

「上の子が寂しいのは分かってる。でも、毎晩夜泣きする下の子の対応で精一杯…私も限界でした」
「“きょうだい児のケアが大切”ってわかってるのに、関わる余裕がなくて自己嫌悪ばかり」
「私の気持ちに共感してくれる人がほしかった。どこかに“親の気持ち”を受け止めてくれる場がほしい」
きょうだい児支援をがんばりすぎない7つのポイント

1.あなたはすでに、十分やっている
まず、これを伝えさせてください。
「あなたは、もう十分がんばっています」
きょうだい児への気配りや支援に目を向けている時点で、それは大きな愛情の証です。
でも、「もっと○○しなきゃ」「私が我慢すれば」と思いすぎていませんか?
疲れてしまったのは、手を抜いているからではなく、気を抜けなかったから。
だからまずは、疲れて当然という前提を、自分に許しましょう。
2.きょうだい児は“あなたのすべて”を求めていない
きょうだい児のために…
- 毎日個別の時間を作らなきゃ
- 気持ちに寄り添った声かけをしなきゃ
- きょうだい喧嘩も感情的に叱っちゃいけない
そう思っていませんか?
でも、きょうだい児はあなたに完璧な支援者であることなんて求めていません。
むしろ、「ちょっとだけでも見てもらえたら」「自分の気持ちに気づいてもらえたら」それだけで満たされることが多いのです。
“100点の支援”ではなく、“5分の笑顔”でも、価値はある。
がんばりすぎない関わりの方が、実は届きやすいんです。
3.感情を殺さず、正直になっていい
「また我慢させちゃった」
「弟の送迎で約束を守れなかった…」
「なんでこんなに私ばっかり…」
そんなふうに、つい感情があふれてしまうことはありませんか?
でもそれ、親として失格なんかじゃありません。
むしろ、そう感じるのは「支えたい」という気持ちがある証拠です。
だから、自分の本音にフタをしないでください。
泣いてもいい、疲れたって言っていい。
感情を正直に出すことは、リセットボタンのようなもの。
その後、少しだけ優しくなれる自分に戻れます。
4.家族全員の“満足度100%”は無理です

きょうだい児支援を考えるとき、「みんなが平等に満足する家庭」を目指していませんか?
- 障害のある子
- その兄弟姉妹
- 親(自分)
- パートナーや祖父母
でも、現実はそんなにうまくはいきません。
家族全員が100点満点に満たされることは、ほぼ不可能です。
大切なのは、誰かが“我慢しすぎない”こと。
誰か一人が限界まで耐えていたら、家庭全体のバランスは崩れます。
だからこそ、「今日はこの子優先、明日はこの子」くらいの“ゆるやかな公平”を意識してみてください。
5.支援に「他人の手」を借りていい
きょうだい児支援を“親だけの責任”だと思っていませんか?
でも実は、外に頼れる手はたくさんあります。
- 児童発達支援や放課後等デイサービス(兄弟児もOKなところあり)
- 地域のボランティア活動やきょうだい児サークル
- 児童相談所や民間のカウンセリング
- ファミリーサポートセンターなどの一時保育
「疲れた」というサインは、「一人で抱えないで」という合図かもしれません。
支援を“シェアする”ことで、あなたの心にも余白が生まれます。
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6.きょうだい児と「一緒に育つ」という視点に変える
支援という言葉は、時に「大人が子どもを導くもの」と捉えられがちです。
でも、きょうだい児との関係は「一緒に育つ関係」でもあります。
- お互いの感情をすり合わせながら
- 誤解したり、ぶつかったりしながら
- 小さな喜びや信頼を積み重ねながら
その積み重ねこそが、きょうだい関係を育てる本当の支援かもしれません。
「今日はちょっと上手にできなかったな」
そんな日があってもいい。関係は、ゆっくりでいいんです。
7.「支援」よりも、「つながり」を大事にする
親として、何より大事にしてほしいのは「きょうだい児と心がつながっている」という感覚です。
- 子どもが笑ってる
- 寂しさを言葉にできる
- 自分の気持ちも大切にできる
そんな日常が少しでもあるなら、それはもう立派な支援。
疲れた日があったって、怒ってしまった日があっても、
“つながり”があればまた、やり直せます。
あなたの心を守るためにできる7つのこと

① 「疲れた」と言葉にする
まずは、言葉にしてOK。
SNS、日記、カウンセリング、信頼できる友人――
どこかで吐き出すことが、第一歩です。
② 自分だけの“逃げ場”を確保する
毎日でなくていい。「私に戻れる時間」を確保しましょう。
- 好きな音楽を聴く
- カフェに行く
- 子どもを預けて、ひとりで買い物
小さな「好き」が、自分の心を守ります。
③ 「助けて」が言える環境をつくる
福祉の現場でも「親が孤立しやすい」と言われています。
だからこそ、福祉職や支援団体に頼るのは賢い選択。
「ちょっと聞いてほしい」だけでも大丈夫です。
④ パートナーと“温度差”をなくす会話を
夫婦で価値観がずれることはよくあります。
でも、「子どもにどう関わるか」は一緒に考えたいこと。
- 「最近○○がこうで…」と事実から共有する
- 「どうしたら一緒に関われると思う?」と問いかける
温度差を埋める会話は、“責めない”ことがカギです。
⑤ きょうだい児支援を“プロに委ねる”こともOK
親が全部やる必要はありません。
支援者やカウンセラーが、きょうだい児の話し相手になることもあります。
あなたが安心できる場を、子どもにも用意してあげる――
それも“支援”の一つです。
⑥「できていること」に目を向ける
毎日こなしていることは、すでに“支援”です。
- ご飯を作った
- 絵本を読んだ
- おはようと言った
「できなかったこと」よりも、「できたこと」を一つでも見つけて、自分を労ってあげてください。
⑦ 共感し合える「仲間」とつながる
同じように悩んでいる親と話すことで、「私だけじゃなかった」と救われることも。
オンラインコミュニティやきょうだい児支援団体など、共感できる居場所を探してみましょう。
おわりに|まずは自分のケアから

きょうだい児支援は、「がんばりすぎた人ほど疲れる」ものです。
だからまずは、自分の心を守ることから始めてください。
そして、こうしてこの記事を最後まで読んだあなたは、
もう十分すぎるくらい子どもたちのことを考えている人です。
優しいあなたが、優しさを受け取れますように。
少しでも「心が軽くなった」と感じてもらえたら、嬉しいです。
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