「子どもの発達が気になるけれど、父親として何をすればいいかわからない」
「母親任せになっていて、どこか距離を感じてしまう」
そんな思いを抱えていませんか?
実は、発達が気になる子の育児において、父親ができる役割は想像以上に大きく、家庭の安定にもつながります。
支援の現場でも、「夫は育児に協力的だけど、発達のこととなると他人事に感じる」といった母親の声が多く聞かれます。
日々の療育の送迎、関係機関との連携、感情の起伏の激しい子どもへの対応——これらの負担が、自然と母親一人にのしかかってしまっているケースは決して珍しくありません。
この記事では、父親が果たせる具体的な役割や、育児にうまく関われないと感じたときの対処法、夫婦での協力のコツまで詳しくご紹介します。
父親が子育て・育児に関わるメリットとは?

父親が子育てや育児、療育に関わることには、子ども・母親・父親自身にとって多くのメリットがあります。
子どもの社会性が育ちやすい
父親との関わりを通して、子どもは「違うタイプの大人との関係性」を学ぶことができます。特に発達が気になる子どもは、視野や表現が狭くなりがちなため、多様な関わり方が刺激になります。
母親の負担とストレスが軽減される
療育や病院通い、日々の関わりに一人で向き合う母親は、どうしても疲弊しがち。父親の関与があることで「1人で抱えなくていい」という安心感が生まれます。
父親自身の“育児感覚”が育つ
関わることで子どもへの理解が深まり、職場や社会との関係性にも良い影響を与えます。子どもの将来に対して主体的に考えるようになり、家族の結束力も強まります。
父親ができる5つの役割

では、実際にどのように関わればよいのでしょうか? 特別なスキルがなくてもできる、父親が担える5つの具体的な役割をご紹介します。
1. 母親の“サポーター”ではなく、“パートナー”になる
よくあるケース
母親が育児・発達支援・病院対応・園との連携を一手に担い、父親は「手伝い」ポジション。
すると、母親は「なんで私だけが…」と孤独を感じ、夫婦間の温度差が広がります。
父親ができること
- 情報収集や相談先に一緒に同行する
- 子どもの特性を自分の言葉で理解しようとする
- 「全部は分からないけど、一緒に考えるよ」と伝える

父親が「当事者意識」を持つことで、母親の心理的負担がぐっと軽くなります。
2. 子どもにとっての「安心の基地」になる
発達に特性のある子は、日常の刺激に敏感だったり、予想外の変化に不安を感じやすかったりします。
父親に求められるのは
- 感情の安定(急に怒らない、落ち着いた口調で接する)
- 肯定的なまなざし(できたことを認める・褒める)
- ルールの一貫性(母親と違うことを言わない)

「お父さんがいると安心」「お父さんに見ていてほしい」。子どもにとって、父親がそんな存在になることは、情緒の安定に大きく寄与します。
3. 「遊びのリーダー」として関わる
父親は、体を使った遊びや発想の豊かな遊びが得意なことが多く、療育的な関わりを自然な形で取り入れることができます。
おすすめの関わり
- 感覚統合につながるようなダイナミックな遊び(例:布団山登り、バランス遊び)
- 「ごっこ遊び」や「ルールのある遊び」で社会性や言語を育む
- 絵本の読み聞かせや、子どもの話をじっくり聞く時間を持つ

お父さんと遊ぶ時間」が、発達支援そのものになるのです。
4. 母親のメンタルを支える「クッション役」になる
支援現場でのリアル
発達に不安のある子の育児は、母親の心を消耗させがちです。
孤独・不安・焦り・情報の多さ・周囲の目…それらを一人で抱え込んでしまうお母さんが非常に多いのです。
父親にできること
- 「いつも頑張ってくれてありがとう」と言葉にする
- 子どもの困りごとではなく、妻の困りごとにも耳を傾ける
- 「どうしたらいい?」ではなく、「どうしたい?」と聞く姿勢

「わかってくれてる」と感じられるだけで、母親は救われます。
5. 社会との「橋渡し役」になる
保育園や学校、職場、親族など、“社会”とのつながりで悩む母親は多いもの。
そこに父親が介在することで、風通しの良いコミュニケーションが生まれます。
たとえばこんな場面で
- 担任との連絡に父親も同席する
- 職場で配慮が必要なときに、父親側から説明を試みる
- 義実家へのフォローを父親が担う

母親がひとりで戦わなくていい状態をつくること。それが、父親だからできる「守り方」のひとつです。
父親が「どう関わっていいかわからない」と感じたときの対処法

「手伝いたいけど、何をしていいか分からない」「正直、療育とか苦手意識がある」。そう思う父親は少なくありません。では、どうすればいいのでしょうか?
まずは“聞くこと”から始める
難しいアドバイスよりも、「今日はどんなことがあったの?」と聞くことが一番の支援になることがあります。
自分の“得意”を活かす
料理は苦手でも、絵本の読み聞かせは得意。車の運転が好きなら送迎を担当。役割分担は“平等”でなく“適材適所”でOKです。
療育に「楽しさ」を見つける
遊びの延長で療育になることもあります。リズム遊びや絵カードゲームなど、“遊びながら”関われる支援を見つけてみましょう。
父親の関わりを増やすために母親ができること

「どうして私ばっかり…」と思っていても、つい相手に期待しすぎてしまい、うまく伝わらないことも。
そんなときに効果的な“伝え方”があります。
“お願い”より“感謝”を伝える
「手伝って」ではなく「●●してくれて助かった。ありがとう」と伝えるだけで、相手のモチベーションが変わります。
相手を責めず、具体的に伝える
「もっと関わって」ではなく「今週の療育、同行してくれたら助かるな」など、行動のイメージがわく伝え方が効果的です。
夫婦で“ゴール”を共有する
目先のことでなく、「将来どんな子に育ってほしいか」を語り合うと、自然と協力姿勢が生まれやすくなります。
まとめ:父親にしかできない“支える力”がある

発達障害の子どもを育てることは、想像以上にエネルギーが必要です。そして、それを母親1人が抱えてしまう状況では、家庭全体のバランスが崩れがちです。
でも、父親が「自分の役割」を理解し、日々の中でできる支えを意識することで、家庭は確実に変わります。
難しいことをしなくても構いません。
小さな行動の積み重ねが、家族の未来をつくっていきます。
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